ガモン病院におけるMtF性別適合手術(SRS)

治療の概要

性別適合手術(Sex Reassignment Surgery, SRS)は、心と体の性別の不一致に苦しむトランスジェンダーの方にとって、身体を本人の性別認識に合わせるための重要な治療です​。

ガモン・コスメティック・ホスピタル(通称:ガモン病院)はタイ・バンコクに所在し、世界的にも有数の美容外科・性別適合手術専門の医療施設です。形成外科医のガモン・パンシートム医師(Dr. Kamol Pansritum)が率いるチームは、1997年以来MtF手術を含む1万件以上の手術を行っており、5,000件以上のSRSの実績があります​。

年間500件以上のMtF手術を手掛ける経験に裏付けられた高度な技術により、一度の手術(一期的手術)で完了し、可能な限り元の神経を温存して性感を保つとともに、見た目も自然で美しい女性器の形成を目指しています​。

院内はJCI(国際医療機能評価)認証を取得しており、施設・設備や衛生管理は国際水準を満たしています​。また日本人患者も多く、スタッフによるきめ細かなサポート体制が整っています。

手術方法

ガモン病院では、患者様の解剖学的条件や希望に応じて複数の膣形成術式を提供しています。基本的には陰茎皮膚の反転と陰嚢皮膚移植を組み合わせた方法(いわゆる陰茎反転法)が標準術式です​。

陰茎の皮膚を反転して膣を作り、陰嚢の皮膚を移植して膣壁の足りない部分を補うことで、十分な奥行きと機能的な膣を形成します​。反転に用いた皮膚の内側(膣深部)に毛が生え将来抜去できなくなるのを防ぐため、術前に陰茎軸部分の脱毛を推奨される場合があります​。

ガモン病院では手術中に陰嚢皮膚の毛根を徹底的に除去し、必要に応じて鼠径部や下腹部からの植皮も併用することで十分な膣の深さを確保するため、毛が原因のトラブルを抑えつつ奥行きのある膣を一度の手術で作成することが可能です​。手術時間の目安は4~6時間程度で、入院期間は約6~7日間です​。

一方、大腸(S状結腸)を利用した膣形成術も選択できます​。これは腹部のS状結腸の一部を採取し、膣管の内壁として利用する術式です。開腹による方法と腹腔鏡(内視鏡)による方法があり、腹腔鏡下手術では小さな切開創(4か所)から結腸を採取するため瘢痕が目立ちにくく、膣の奥行きも平均20cm前後とやや長く取ることができます​。結腸由来の膣は天然の粘液分泌による自潤滑性が得られ、術後の維持(ダイレーション)が比較的容易になる利点があります​。

特に陰茎や陰嚢皮膚の不足がある場合(長期ホルモン療法や既往の睾丸摘出、包茎手術などで皮膚が足りない場合)や、過去に受けたSRSで膣が浅かった方の再手術として有効な方法です​。S状結腸法は奥行きを事前に確保しやすく、あらゆる術式の中で最も深い膣を形成し得る方法とされています​。手術時間は約6時間、入院は通常7日間程度で、開腹法・腹腔鏡法いずれも提供されています​。

さらに近年導入された腹膜を利用した膣形成術(PPV法)も当院で施行可能です。腹腔内を覆う腹膜を陰茎の一部と組み合わせて新膣壁に転用する最新技術で、腹腔鏡下に行われます​。腹膜組織は粘膜に近い弾力と潤滑性を持ち、毛が生えないため臭いや感染リスクが低く抑えられる点が特徴です​。PPV法は本来先天的に膣の無い女性(MRKH症候群)の治療として確立されていた手法で、安全性・有効性は40年以上の実績があります​。ガモン医師はこのPPV法を用いたSRSを世界で最も多く手がけており、初回のSRSはもちろん、既存の膣の深さ不足を補う二次手術としても有用です。自前の潤滑性と弾力性に優れる一方、腹膜由来の膣は術後に収縮しやすい性質があるため、他の術式以上に継続的なダイレーション(拡張)が重要となります​。手術適応については患者様の体格や健康状態も考慮され、高度の肥満(内臓脂肪が多い方)には腹腔内の操作が困難となるため腹膜法は不向きとされます​。

いずれの術式を選択する場合でも、術前には専門医から十分な説明を受け、最適な方法を検討します。なお、膣を形成しない造膣なし(ゼロデプス)SRSの選択も可能で、この場合は外見上の女性器のみを作り性交を想定しないため、入院・回復期間が短いという利点があります​。

適用条件と術前準備: 手術にあたっては、精神科医等による性同一性障害(性別違和)の診断書や紹介状が必要です。タイ国内法の規定により、渡航後に現地の精神科医による診察(費用4,000バーツ程度)も受ける必要があります​。

また全身麻酔に耐えうる健康状態であることが前提で、重度の持病がある場合は事前に相談が求められます​。喫煙者は創傷治癒遅延のリスク軽減のため禁煙を指示されることがあります。ホルモン療法中の方は術前に一定期間中止が推奨される場合があります(血栓症予防のためエストロゲン製剤等を2週間程度休薬するなど、主治医の指示に従ってください)。

陰茎皮膚を用いた膣形成を希望する場合、術前半年以上かけて陰嚢や陰茎のレーザー脱毛を行っておくと、将来的な膣内の毛髪トラブル防止に有益です​。体重やBMIも留意点で、体重80kg以上またはBMI27以上の方は手術難度が上がるため病院規定で手術費用が30%割増しとなります​(これは肥満による合併症リスクを補うための措置です)。

以上の条件を満たし適切な準備を行うことで、安全かつ円滑に手術に臨むことができます。

リスクと合併症

いかなる外科手術にもリスクは伴い、性別適合手術も例外ではありません。主な合併症・リスク要因としては、術部の感染(創部感染)や出血・血腫形成、創傷の治癒遅延があります​。

膣形成術特有のものとしては、新たに形成した膣と直腸・尿道の位置が近接するため瘻孔(ろうこう)が生じるリスク(膣と尿道あるいは直腸が異常交通する)や、瘢痕収縮による膣狭窄閉塞が挙げられます​。

特にダイレーション(拡張器による定期的な膣の維持)を怠った場合、瘢痕により膣の奥行きが減少する可能性があり、重度の場合は再手術での拡張が必要となることもあります​。また術後しばらくは排尿トラブル(尿のキレが悪い、方向が定まらない等の軽微なもの)がみられる場合がありますが、時間とともに改善することがほとんどです​。

術式ごとの特徴的なリスクも理解しておく必要があります。陰茎皮膚を用いる方法では、皮膚に起因するトラブル(残存する毛による炎症や膣石の形成など)の可能性があります​。

S状結腸を用いる方法では、腹部から腸管を切除するため腹腔内での癒着形成や腸管の縫合不全といった合併症のリスクがあります。また結腸由来の膣は常在菌叢の影響で臭いが心配されることがありますが、「S状結腸膣は臭う」というのは誤解であり、適切な衛生管理を行えば臭気は通常発生しません(感じるのは全体の4%未満で、衛生状態の改善で解決します)​。

腹膜を用いるPPV法では、先述のように術後の収縮を防ぐため粘り強いダイレーション継続が何より重要です​。また腹腔鏡手術とはいえ腹膜を採取するため一時的に消化機能の変調(食欲不振や便通の乱れ)が術後数週間みられることがあります​。肥満度の高い方ではPPV法自体が適応とならないケースもあります​。

合併症の多くは適切な処置によって改善します。ガモン病院では術後管理に熟練したスタッフが24時間体制で経過を観察し、万一合併症が起きた場合も迅速に対応します。

重篤な合併症は稀ですが、最悪の場合は止血の再手術や瘻孔閉鎖術など追加処置が必要になることもありえます​。主治医の指示をよく守り、衛生管理と定期検診を怠らないことで、合併症リスクを最小限に抑えることができます。

回復プロセス

術後は約1週間の入院加療を行います(術式により6~7泊程度)​。

入院中は尿道カテーテルや膣タンポンの管理、痛み止め投与、点滴などのケアが行われ、術後数日は安静が必要です。早期に歩行練習を開始し、血栓予防や腸蠕動の回復を促します。術後5~7日目を目安に膣内のガーゼやカテーテルを抜去し、以降は自分での膣拡張(ダイレーション)がスタートします。

ダイレーターと呼ばれる器具を使い、新しく形成された膣に徐々に広さと深さを慣らしていきます。術直後は1日3~4回と高頻度で行い​、数ヶ月かけて徐々に回数を減らしていきます(医師の指導に従ってください)。この過程は忍耐が要りますが、十分な奥行きと柔軟性を維持するために不可欠です。

入院中に拡張方法や創部の洗浄方法について看護師から指導を受けられるので、不安な点は解消して退院することが望まれます。

退院後は渡航患者の場合、約2週間はバンコク市内に留まって経過観察を受けます​。ガモン病院では敷地から徒歩数分の場所にサービスアパートメント(ホテル形式の宿泊施設)を併設しており、清掃サービス付きで快適に滞在できます​。入院中も含め、病院の病室は全室個室でプライバシーに配慮されており、付き添いの方が宿泊できるソファベッドが備え付けられています​。各部屋にはセーフティボックス(金庫)やテレビ、無料Wi-Fi環境が整い、食事は日本食・洋食・タイ料理から選択可能です​。

こうした環境のもと、術後もできるだけリラックスして過ごせるよう配慮されています。退院から約1週間後と2週間後に術後検診があり、創の治癒状況や膣の状態を確認します。問題がなければ医師の許可のもと帰国となります。

帰国後の日常生活復帰の目安としては、デスクワークなど軽作業であれば術後3~4週間程度で可能ですが​、長時間の立ち仕事や重労働は1~2ヶ月程度控えることが望ましいでしょう。術後1か月間は長時間の入浴や激しい運動は避け、創部を清潔に保ちつつ安静を保ってください。性行為は膣粘膜の十分な治癒を待って開始します。

一般的に術後2~3か月程度で性交渉が可能になりますが​、個人差が大きいため担当医の指示を仰いでください。術後半年から1年ほどは定期的に自己管理下でのダイレーションを続ける必要があります。時間の経過とともに拡張間隔は延ばせますが、将来にわたり膣を維持するためには最低でも週に1回程度のダイレーションまたは性交渉を継続することが推奨されます。

これらの術後ケアを怠らなければ、多くの方は手術から3ヶ月~半年ほどで通常の日常生活を問題なく送れるようになります。

費用

手術費用は選択する術式によって異なります。詳細は予算目安一覧ページを参考ください。

これらの料金には手術費・入院費が含まれており、MtF手術の場合は入院6~7泊分が標準でセットになっています​。上記はガモン病院に直接申し込んだ場合と同額であり、仮にエージェント会社を通して手配する場合でも病院への支払い額は変わりません​。

手術費用以外にかかる費用も考慮が必要です。術前には年齢に応じた術前検査費用(20~35歳で3,800バーツ、年齢が上がると若干増額)や現地精神科医の診察料(4,000バーツ)が別途必要です​。渡航費(航空券代)や現地宿泊費、通訳・送迎サービス料なども発生します​。

これら渡航関連費用についてはJoyMeではページ上で明記しておりますが、いずれにせよ保険診療の適用外であるため基本的に全額自己負担となります。日本の公的医療保険は海外での手術費には適用されませんし、本手術自体が美容目的とみなされ保険対象外です。したがって高額療養費制度等も利用できません。万一の合併症や緊急搬送に備え、海外旅行傷害保険への加入も強く推奨されます​。

ガモン病院併設のサービスアパートメントは1泊あたりの料金がホテルより割安で、長期滞在には経済的です。総合的に見て、日本国内で自費手術を行う場合と比べても渡航費用を含めなお費用面のメリットが大きいとされています(※比較情報は参考)。

アフターケア

ガモン病院では術後ケアにも重点を置いています。退院時には創部の処置方法やダイレーションの手順について詳細な指導を受け、自宅でのセルフケア計画が立てられます。帰国後も不安なことがあれば、メールやオンライン診療等で病院に相談することができます。抜糸が必要な場合は帰国前に病院で行いますが、溶ける糸を使用する部分も多いため特別な処置なく経過観察となることもあります。

日本に帰国後は定期的にホルモン主治医や専門外来で経過をチェックし、必要に応じて局所の消毒やトラブルへの対処を受けてください。

術後の仕上がりに関して、修正手術(再手術)が必要となるケースもわずかながら存在します。傷跡の肥厚や左右差、陰唇や陰核の形状の調整など、美容的な理由で追加の施術を希望する場合は、ガモン病院で低額の費用で再手術を受けることが可能です(例えば見た目上の問題で再手術を希望する場合、約40,000バーツで対応してもらえます​)。術後6か月以内に連絡をすれば、内容を確認のうえ医院側に過失があった場合はその程度に応じて個別に対応が検討されます​。

いずれの場合も、まずは手術コーディネーターや代理店を通じて相談することで、病院との間で適切な調整が行われる体制が整っています​。

最後に、ホルモン療法との関係について触れます。MtFの方の場合、SRSによって精巣が摘出されるため体内でのテストステロン産生が大幅に減少します。そのため従来必要だった抗アンドロゲン剤(例:スピロノラクトンなど)の多くは不要となり、中長期的にはエストロゲン製剤を減量して維持量を補充する形になります​。術後もエストロゲン補充療法は一生涯継続が必要です。

これは女性らしい体型や皮膚状態を維持するためだけでなく、骨密度の低下や更年期症状を防ぐためにも重要です。術前と同量のホルモンを続けると必要以上の投与となるため、ガモン病院でも術後はホルモン量を見直すよう助言しています​。

また、膣の粘膜維持のためにエストロゲンクリームを膣内に定期的に塗布することを勧められる場合もあります。ホルモン管理については、日本の主治医とも相談しながら適切な量と方法で続けてください。

以上、ガモン病院で行われるMtFの性別適合手術について、その概要と術式、リスクと回復、費用やアフターケアまで解説しました。卓越した技術と充実した設備のもと、多くのトランス女性が理想の自分に近づくお手伝いをしています。

手術を検討されている方は、不明点を十分に解消し、納得のうえで一歩を踏み出してください。当院および提携エージェント「JoyMe」のスタッフ一同、安全で満足のいく手術となるよう万全の体制でサポートいたします。

もしご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。心と体の一致に向けた皆様の挑戦を、私たちは全力で応援します。​

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